近ごろ気になる「樹」の話
                             - その2-

すでに 2億4千万円の税金 をかけ 

さらに 82億7千万円の税金投入

土地区画整理事業


常滑市の 鎮守の森取り壊し         

           海椙【うすぎ】
 神社の移転計画


知多クリック市民会議室(掲示板)に書き込みがあった神社移転計画は
もう公表され、どんどんすすめられている事業でした。


左半分に下のような文書、右半分には地図(図-1)が回覧されていたのです。

回覧

各位
平成13年12月吉日
多屋区長 ●●●●
海椙神社総代 ●●●●
常滑多屋土地区画整理組合 理事長 ●●●●
 
     「常滑多屋土地区画整理事業に伴う海椙神社の移転について(お知らせ)


 寒冷の候、…
 さて、永年にわたり計画が進められておりました明和、大鳥、大和、森西及び錦町地内の土地区画整理事業について、平成13年11月2日付けで愛知県知事より組合設立認可を得、平成13年11月18日に組合が設立されました。
 平成14年からは、土地区画整理事業地区内において工事等が始まり、付近の方々にはご迷惑もおかけいたしますが、ご理解下さるようお願いいたします。
 また、海椙神社につきましても、多屋区の代表の方々と長期にわたり検討を重ねてまいりましたが、この事業に合わせ右図(※図-1)の個所に移転をすることとなりました。
 時期については未定でございますが、ご理解ご協力下さるようお願いいたします。







図-1



@下の緑色の部分が「海椙神社」現在位置です。
A地図中央の緑色の部分が「海椙神社」の移転先です。
B海椙神社の移転の原因は ※都市計画道路の常東線です。
C地図中央、都市計画道路の多屋線(石神道路)は同 知多西部線(155号線 産業道路)から県道大府常滑線までは道幅18mに拡幅予定です。
Dこの道路を西進すると(地図左外)「※榎戸4号踏み切り」に出ます。
E都市計画道路 浜田線 と 都市計画道路 知多横断道路(空港アクセス道路)です。この道路計画はH9.8ごろから変更により追加されました。


         ※@〜Eの番号と解説は回覧にはありません。
      







地図左(西)側海椙神社 地図右(東)側三楠八幡神社
常滑市森西町三丁目





先日、いつもはご挨拶をする程度の地域の年配の方に

声をかけていただき、その日は日曜日だったためか

庭や庭木の話へと、珍しく時を忘れてお話を伺うことになりました。


そして、何と


海椙神社はね、「
ごうしゃ」といって大変格式があるでね。

と言われた、このタイミングにびっくり、どっきり!!
実はここ数週間前から海椙神社の移転のことが気になっていたのです。


え、どういう字を書くんですか? 
と無知な私

ふるさとの 
 だがね

あそこの樹は1000年の歴史があるからね・・・

 森 と 樹 に対する思いがこもるお話が続きました。




これは 郷社 海椙神社 について知りたいと思った矢先、
下記のような資料をいただきました。


 「郡内神社一覧」によると

知多半島での郷社は

 日長神社(知多市) 日長
 海椙神社(常滑市) 森西  1926u(境内面積)  339(氏子数)
 入見神社(美浜町) 内海
 野間神社(上野間) 高川
と4社である。

社伝によると

延喜3年(903年、
菅原道真死去の年)京師八坂神社を勧請して建立した。
とある。

郷社とは旧社格の一で県社の下、村社の上に位置づけられ、地方官の管理下にあって奉幣を受けたものをいう。


海椙神社は1000年以上の歴史をもつ由緒ある神社であり、常滑市としても大切にすべき森ではないのか。


ちょうど、桜開花宣言が発表されたころ海椙神社の桜の様子を見に行くと何やら神社の説明文を写筆している人達に出会った。
声をかけると 安城市からのお客様であった。


ところが、なのです。
このような森をなぜ取り壊し移転しなければならないのか知りたくて
多屋土地区画整理組合関連の行政資料を探すと、
第1回全体説明会で配布された資料【資料1】に下記のように書かれていました。


 ・・・
海椙神社については、元神原ダンボール付近へ移転をお願いしようと考え、計画案に盛り込んでおります。
この神社は多屋地区の氏神様であり、皆様方の憩いの場でもありますが、現在、森となっている土地の内、
約2/3が個々の方々が所有する土地であり、神社としての敷地は1/3程度しかありません。
 区画整理事業を実施するにあたり、
個々の方々が所有する土地については、整備を行い利用価値を高める必要があります。

 
また、区画整理事業にあわせ整備する常東線についても、色々工法等検討しましたが、結果として、神社が現在地に残った場合、周辺が切り立った利用しにくい状態になってしまうことが予想されます。
 このため、区長さん、氏子さんを始め地区役員の方々とご相談させていただ(い)き、新たな場所に緑豊かな利用しやすい神社を造営してはと考えております。

 
なお、神社の南には、参道として利用できるよう緑道を配置するとともに、緑を少しでも多くするため公園を計画しております。

【資料1】多屋土地区画整理組合地権者説明会資料より



2/3が民有地なんだ!!



この説明の前後の発言を何度も読み返してみました。




【資料1】 多屋土地区画整理組合地権者説明会議事録より
海椙神社に関するものの抜粋
                 
H10年8月10日   11日
参加者140人 (内地権者129人) 
区画整理発起人 11人(別紙)
区3役 3人    
市議 2人   以下、個人氏名は省略します
JAアグリス
経済連
参加者110人 (内地権者105人) 
区画整理発起人 12人(別紙)
区3役 3人
市議 2人   ※以下、個人氏名は省略します
JAアグリス
経済連
8月10日議事録

挨拶
・・・省略・・・


事務局:   ・・・概要説明  
資料 A を配布

●●:ただいまのお話の中で海椙神社問題ですが、これは常東線がどの辺に行くということですか。

事務局:現在の計画ですと海椙神社の社務所を通る計画なので、本社と八幡社が分断される計画になっております。

●●:工法についてはどうですか。

事務局:本都市計画道路は国の補助をもらって整備をしていく計画をしています。開削工法という掘割にしますと補助金がもらえますが、トンネル工法とすると、その数倍お金がかかりますので、掘割工法を考えております。

●●:今の緑になるまでどれくらい時間がかかると思いますか。相当年数がかかりますよ。せっかく今のお宮さんに緑が残っているのに、工事金が高いとかで、ここを丸坊主にして新しい所に移してしまう。おそらくあの緑になるまでに私の子の時代でもならんだろうと思います。この前の空港の道路問題でも県のほうもお宮は外してやると言ってますよ。あれは区長さん、氏子総代さんじゃない、字のみんなの緑地ですよ。よく考えて計画して頂きたい。私は残してもらいたい。どうしても残していただきたい。

司会:ご要望としてお聞きいたしておきます。ほかにご質問はございませんか。

●●:区画整理全体では私も結構なことだと思いますが、なかなかそのとおりになると思いにくいのですが、非常に由緒あるお寺(お宮?)ですので、これだけはなんとかお金をかけてもさわらないでいただきたい。

司会:わかりました。他にご質問はございませんか。こういう計画ができておりますけども、この地域は農業振興地帯ですので、調整区域等、法律的な縛りもございまして、組合が設立するのが遅れるということにもなるわけですけども、あのような計画で、これから意見を受けたまわり、また関係機関等とも細かい協議を重ねて、そういう中で、皆さんのご意見を参考に、あるいは反映さして行きたいと思います。ございませんか。

●●:区画整理期間中、宅造制限が行われるのですけれども・・・・

事務局:・・・

司会:ご理解できたでしょうか。それでは海椙神社のことで今も出ましたが、代表のほうから一言説明があるということなのでお願いします。

代表: 今、海椙神社について要望がございましたが、これは簡単に移転を考えた訳ではございません。現在のお宮の森の中で、神社の森は、三分の一しかございません。仮に整理組合でやる場合には、今の森は残らないだろうと。これは字の区長始め、氏子、氏子OBを交え、何回か協議をしております。その会議のなかで残すのは、難しいということで、実は、お宮を動かすのに総移転費が2億数千万かかります。トンネルを掘ると10億円かかります。それについては補助金が出ない。これについては意見があって皆さんが何十億かかろうとやればいいじゃないかというようなことになると、それに反論はしません。しかし経済的な問題があって、事業費にかかわってくる。これについては、区長、氏子、氏子OBさんに何回も集まって戴いて、慎重に審議し、多いときは40人も集まって、長い経過を経てこうしたほうがいいんじゃないかということであり、決定したわけではございません。絵であります。今後も今のご意見を参考にして再度協議しますけども、難しい問題であるということだけご理解頂きたいと思います。

●●:今、土地の問題になりましたのですが、八幡さんを飛び換えでいけば、うまくいくのではないかと思います。

代表:今、お宮全体で12,000uの面積になりますが、お宮は三分の一しかございません、みんな民地になっておりますそこで切ると北側は崖になってしまう。組合擁壁を造るとかなり高いものになってしまう。それと八幡さんと社務所を西へもってきた場合、今の森がなかなか残らない。お宮の用をなさない。このことについては何回でも協議し、駐車場も造って社務所も造ってということになると移転しかないということになった。お宮という性格上だれもかまいたくないが、総事業費の1割もかかるとなると皆様の減歩も10%上がる。現実的でないということで、どうかご理解いただきたい。

司会:大変、神社を移転するのは難しい問題で、発起人の我々も真剣に取り組んだ結果、移転の方向でということで、皆さんの意見も承りまして協議をしていきたいと考えております。他にご意見ございませんか。ないようなのでこれで説明会を終わりたいと思います。本日は暑い中ありがとうございました。



       「多屋土地区画整理事業の説明会」説明資料    ・・・資料A

本日は・・・・省略

次に、海椙神社についてご説明します。
海椙神社については、元神原ダンボール付近へ移転をお願いしようと考え、計画案に盛り込んでおります。
@この神社は多屋地区の氏神様であり、皆様方の憩いの場でもありますが、現在、森となっている土地の内、約2/3が個々の方々が所有する土地であり、神社としての敷地は1/3程度しかありません。
A区画整理事業を実施するにあたり、個々の方々が所有する土地については、整備を行い利用価値を高める必要があります。
B
また、区画整理事業にあわせ整備する常東線についても、色々工法等検討しましたが、結果として、神社が現在地に残った場合、周辺が切り立った利用しにくい状態になってしまうことが予想されます。
Cこのため、区長さん、氏子さんを始め地区役員の方々とご相談させていただ(い)き、新たな場所に緑豊かな利用しやすい神社を造営してはと考えております。

 
なお、神社の南には、参道として利用できるよう緑道を配置するとともに、緑を少しでも多くするため公園を計画しております。

次に ・・・省略・・・

※行政資料原文より @〜Bは資料にはない。




1日置いて、これらの資料をもう一度
読み直してみました。


 図-2 
を見てください。


この地図は 図-1を別の視点から見たものです。

@は区画整理外ですが、都市計画道路155知多西部線(155号線 産業道路)で片側2車線-4車線に拡幅されました。
Aは区画整理外ですが、大府常滑線で道幅が狭いながら生活道路として常滑の背骨として、また電車代行バス車輌も走っている道路です。
B常東線は一応ここで止まりであり、元々まっすぐに通せない道路のようです。(将来ここから南へ伸ばす青写真ができているのでしょうか?。)
     










常東線は 鎮守の森 を避けることもでき、
少し東へ真直ぐに道路を通せるではありませんか?
 



お宮を動かす工事方法と費用云々・・・はその後の問題ではありませんか?



森を守って欲しいという意見には応えていません
次のH11年12月の第2回全体説明会の資料を見ても、全くふれていません。

とすると、海椙神社の移転の原因はこれらの資料を読み解く限り


個々の方々が所有する土地については、
整備を行い利用価値を高める必要があります。
・・・
A


ということのようです。


もしや


この計画、この考え方は
30年も40年も前のものでは?




1000年以上という歴史ある 鎮守の森 を壊して神社を移転、


別の場所に新たに
人工的に公園緑地を作る前に


土地所有者の方々の権利を守りながら、
森を守る手だてはないものなのでしょうか?




愛知県と常滑市が関わり


これから更に

82億7千万円の税金を投入するという

21世紀のプロジェクト



※愛知県土地区画整理組合連合のホームページによると

事業の目的の一つは

健全で、明るく住みよいまちづくり
だそうです

常滑市政も
人にやさしい街づくり をめざしています。



それなら、
誰もが意見を言え、参加できる街づくり
をめざしてください。



そして、


この計画、
※新しい時代の価値観

もう一度考え直してみませんか?





冒頭の回覧にあるように移転の時期は未定です。
鎮守の森と海椙神社・三楠八幡神社を訪ねてみてください。


鎮守の森は心のふるさと(郷)、
人の心をホッとさせます。
都会ですら唯一緑が残っているのは鎮守の森です。


2002.4.5 
散った花びらの美しさに惹かれてシャッターを切ったそうです。



※鎮守の森について


※新しい時代の価値観



>TOP

情報をお寄せいただきありがとうございました。


【資料2】常滑多屋土地区画整理事業経過表 ※行政資料より

番号 年月日 事  項
1 H2.10.22 発起人会発足
2 H4.3〜 アンケート調査実施
3 H5.2.7 全体説明会の開催
4 H5.7〜 仮同意書の取りまとめ
5 H7.3.22 技術援助申請
6 H8.3.15 計画協議書の提出
7 H8.8.30 計画協議書の回答
8 H10.1〜 アンケート調査実施
9 H10.8.10・11 全体説明会の開催    【資料1】
10 H11.1.19 知多横断道路の公表
11 H11.12.1・2 全体説明会の開催     
12 H12.11.24 事前協議書の提出
13 H13.1.9〜 区域公告
14 H13.3.14 事前協議書回答
15 H13.4.22 全体説明会の開催
16 H13.5.7 都市計画決定
17 H13.6.22 組合設立認可申請書提出
18 H13.7.27〜 事業計画の縦覧
19 H13.11.2 組合設立認可



【資料3】常滑市の(仮称)常滑多屋土地区画整理組合への助成金

空港アクセス道路は浜田線をまっすぐに通ってくる計画 年度
助成事業 助成金 内訳
平成7年度 計画協議作成業務 7,931,000円
平成8年度 現況測量業務 26,677,000円
権利調査業務 3,306,300円
平成9年度 地区界測量業務 10,500,000円
図-1のように多屋区画整理事業区域内に空港アクセス道路が組み込まれた
(H10.6.10公表)

区画整理設計業務 28,350,000円
アンケート調査業務 493,500円
平成10年度 区画整理変更設計委託業務 8,715,000円
平成11年度 想定換地資料等作成委託業務 64,844,850円 愛知県 1000万円
常滑市 54,844,850
平成12年度 想定換地等作成委託業務 97,000,000円 愛知県 7500万円
常滑市 2200万円
合計 247,817,650 ここまでで約2億4千万円を投入

※カラー部分は常滑市の(仮称)常滑多屋土地区画整理組合への助成金に関する行政資料による




【資料4】多屋区画整理事業資金計画表 資金計画(年度別収支計画) 平成13年3月 (単位:千円)


平成13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 合計 備考

















通常費
15,000 189,000 283,000 283,000 478,000 283,000 283,000 176,000 0 0 1,990,000
交付金A
15,000 200,000 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 185,000 0 0 1,900,000
促進費
- - - - - - - - - - -
小計 30,000 389,000 583,000 583,000 778,000 583,000 583,000 361,000 0 0 3,890,000 38億9千
地方特定道路A - - - - - - - - - - -
特定公安(駐車場) - - - - - - - - - - -
一般会計 都市再生 - - - - - - - - - - -
その他 - - - - - - - - - - -
保留地処分金 0 0 0 0 480,000 2,404,000 2,404,000 2,404,000 1,827,000 100,050 9,619,050
公共施設管理者負担金 132,000 530,000 397,000 133,000 133,000 0 0 0 0 0 1,325,000 13億2千5百
地方特定道路B - - - - - - - - - - -
都道府県単独費 - - - - - - - - - - -
市単独費 153,000 306,000 428,000 428,000 428,000 428,000 428,000 306,000 157,700 0 3,062,700 30億6千2百
鉄道負担金 - - - - - - - - - - -
その他 320 320 320 320 320 320 320 320 320 370 3,250
315,320 1,225,320 1,408,320 1,144,320 1,819,320 3,415,320 3,415,320 3,071,320 1,985,020 100,420 17,900,000
借入金 293,380 2,245,680 1,029,480 1,769,780 1,107,180 0 0 0 0 0 6,445,500
合 計 608,700 3,471,000 2,437,800 2,914,100 2,926,500 3,415,320 3,415,320 3,071,320 1,985,020 100,420 24,345,500






公共施設整備費 0 158,900 241,800 715,600 717,700 725,000 498,400 225,100 29,000 0 3,311,500
移転移設補償費 0 2,544,700 852,800 879,400 885,100 864,000 546,200 25,200 12,600 0 6,610,000
その他工事費・事務費等 608,200 767,400 1,343,200 1,319,100 1,323,700 885,900 747,400 482,700 300,400 200,500 7,978,500
608,200 3,471,000 2,437,800 2,914,100 2,926,500 2,474,900 1,792,000 733,000 342,000 200,500 17,900,000
借入金返済 0 0 0 0 0 940,420 1,623,320 2,338,320 1,542,940 500 6,445,500
合 計 608,200 3,471,000 2437,800 2,914,100 2,926,500 3,415,320 3,415,320 3,071,320 1,884,940 201,000 24,345,500 82億7千万円

カラー部分は常滑市の(仮称)常滑多屋土地区画整理組合への助成金に関する行政資料による

 都市計画道路とは-あいちの都市計画へ

榎戸4号踏み切りとは(常滑市父母の会)

土地区画整理組合とは(愛知県土地区画整理組合連合会)

メモ】※回覧冒頭に「永年にわたり」とあるが、昭和31年から計画されたものという。



>TOP


引き続き情報をお寄せください。
H14.4.12 UP