さる10月19日、常滑市の青海公民館で7月におすすめしました「子盗り」で
サントリーミステリー大賞を受賞されました海月ルイさんの講演会がありました。
その中で、海月さんは人として学習能力が高い人は「観察力」「洞察力」「想像力」
がある人だと述べられました。そして、その3つの力は読書をし、登場人物の気持ちを
くみ取ることによって高めることができ、たとえ何歳になっても遅くはないと述べられました。
そこで、今月は日本と海外の名作をおすすめしたいと思います。
人としてよりよく生きるために、あなたも学習能力を高めてみませんか?
                                                          

たけくらべ・山椒大夫
                                        樋口一葉、森鴎外著
                                                講談社
                                              971円+税

                                                                                                                                                                                                 明治の傑作短編      
このほど、平成16年度上半期から1000円札に野口英世、5000円札に樋口一葉の肖像画が載ることが決まりました。また、今年は樋口一葉の生誕130年にあたるそうです。そんなわけで、今月は樋口一葉の代表作である「たけくらべ」をおすすめしたいと思います。
樋口一葉はこの「たけくらべ」を発表した翌年、1896年(明治29年)、わずか24歳の若さで肺結核で亡くなりました。一葉の一家は父親の死後、生活の貧しさに苦しみ、1893年、東京の下町の大音寺前で荒物店を開き、雑貨や子ども向きの駄菓子、おもちゃ等を商っていました。そこで見聞きした町の様子がこの「たけくらべ」のなかに描き出されているのです。吉原遊郭という特別な場所に隣接した大音寺前の子ども達は、ふつうの子どもよりもちょっと小粋でなまいきのようです。しかし、そのはつらつとした子ども時代もやがて終わりを告げ、お互いにかすかな恋心を抱いている美登利の未来は遊女で、信如の未来は僧という永遠の別れが待ち受けているのです。どうしようもない運命の過酷さや悲しさを考えさせられます。
さて、この「たけくらべ」が発表された時、当時の文壇の重鎮である森鴎外は、大絶賛したそうです。その森鴎外の短編小説である「山椒大夫」「高瀬舟」「最後の一句」「羽鳥千尋」もこの本に収録されています。なかでも「山椒大夫」は、北朝鮮の拉致事件とオーバーラップしてせつなく胸に響くものがあります。人買いにさらわれるという過酷な運命を受け入れ、それでもたくましく生き抜き、母親との再会を果たした厨子王の姿には、とても勇気づけられます。
いずれも、もう一度読み直してみたい明治の名作です。
 絵のない絵本                                      
                                           アンデルセン著
                                              フォア文庫
                                             540円+税
                                                                美しい絵がいろどる愛の名作
アンデルセン(1805〜1875年)はデンマークが生んだ世界的な童話作家です。「マッチ売りの少女」「人魚姫」を知らない人はいませんね。当時の旅行は鉄道の可能なところは少なく馬車や徒歩でしたが、アンデルセンは旅行が好きでよくしていたそうです。この「絵のない絵本」は、その旅先で実感した心象を綴った文学作品です。月が地球をぐるっと一周してきては絵描きに毎晩、自分が見たいろいろな国の話をするのです。それも1ページほどの短い話もあるのですが、内容はとても深いのです。事実、第3夜(牧師のバラ)をもとに長編小説を書いたイギリスの作家もいるそうです。第1夜の恋人の安否を気づかってランプに神のお告げを祈る娘のひたむきな愛から、第33夜のパンにバターをたっぷりとつけてくれるよう祈る幼子のつつましい話まで、どの一編もアンデルセンの人間に対する深い愛情、貧しい人達へのいたわりや励まし、神へのつつましい祈りに満ちていて、読んでいてとても心が癒されます。また、この本には、いわさきちひろさんの素敵なさし絵がついています。もちろん、「絵のない絵本」ですから、アンデルセンがこの本を出版した1840年には、さし絵はついていませんでした。1966年にいわさきちひろさんがヨーロッパへ旅行をし、その後の47歳の時に、この本のさし絵を描いたそうです。ほかの国の画家とは違う魅力をかもし出し、その評価は高く、この文庫本の底本はオーデンのアンデルセン記念館に収蔵されているとのことです。
名作と美しい絵が溶け合った心あたたまる一冊です。

      
   
            目からうろこの  
                  日頃使っている言葉は、実はこんな意味だったのです

                          
            10月8日、ノーベル物理学賞に東京大学名誉教授の小柴昌俊氏が選ばれました。
            さらに9日には、京都にある島津製作所の田中耕一氏がノーベル化学賞に選ばれました。
            日本人がいっぺんに二人も受賞することは、初めてのことでとても「脚光」を浴びましたね。

「脚光(きゃっこう)」を浴びる   脚はどうすれば光るのか?
バスケットボールは、バスケット(籠)にボール(球)を入れる球技だから「籠球」、フットボールは、フット(脚)でボール(球)を蹴るスポーツだから「蹴球」というように、英語の部分部分に漢字を当てて訳した言葉がある。「脚光」もその一つで、フット(脚)とライト(光)である。劇場用語で、舞台の床に設置した照明を用いて、俳優を脚の方から照らすこと。フットライトは、俳優を下から浮き上がらせ、大きく見せる効果がある。
しかし、最近の新人歌手は「脚光」を浴びても、すぐに舞台から消えてしまう。ライトで足元を明るく照らされているうちに、足場をしっかり固めておくよう努力しなかったせいだろうか。               

なかでも田中耕一氏については、「一介のサラリーマン」にすぎなかったことに
大変、驚きました。しかしながら、なにかと暗くなりがちな今の日本に
お二人ともおおいなる夢と希望をもたらしてくれました。
「一介のサラリーマン(いっかい)       どんなサラリーマン?               
私の知人に「一介(かずすけ)」という名前の男がいる。親は、長男だから一、男を表す「すけ」に介の字を選び、「一介(かずすけ)」という名をつけたようだが、この「一介」は、「いっかい」と読むと、とたんに意味が変わるから、日本語はむずかしい。
「一介」の介は、数を数える「個」の意味だから、「一介の」は、ただ「ひとりの」ということで、そこから、「つまらない」の意味にもなった。一介(かずすけ)さんは、長男だが一人っ子ではなかった点で、つまらないサラリーマンにならずにすんだようだ。           

                              柴田 武著 「常識として知っておきたい日本語」 幻冬舎より

                    あなたの解釈や使い方は正しかったでしょうか?               

                               


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