あなたが一冊の本を読むことによって、
人類がまだ誰も経験したことのない世界が広がっていくだろう。
読書とは、作者を踏み台にして新しい世界を切り開いていくことなのかもしれない。

                            柳田理科雄「みんな本を読んで大きくなった」より

バカの壁                     
                                             養老孟司著
                                              新潮新書
                                             680円+税

                                                                                                                                                                                                「話せばわかる」なんて大うそ    
解剖学者で北里大教授の養老孟司さん著の「バカの壁」(初版2003年4月)の発行部数が8月に100万を超えました。2003年発行の書籍としましては、初めてのミリオンセラーとなったようです。わたしも印象に残るタイトルのこの本がずっと気になっていました。
「バカの壁」とは、いたずら小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人等、お互いに話が通じない人達の間に立ちはだかっている「壁」のことなのです。いつの間にか、わたし達の周りにはいろいろな「壁」ができているのです。それを著者は「共同体」「無意識」「身体」「個性」「脳」等、多様な角度から説明しています。今まで、「どうして話が通じないのだろう。」とか、「話せばわかるのに、どうしていつまでも対立しているのだろう。」と思い、イライラした経験はありませんか。この本を読むと、納得できます。
では、なぜ「壁」はできてしまうのでしょうか。著者は、一元論的な考え方に起因すると述べています。4大文明の発祥の地である中近東を例にしますと、まず町が栄えて都市化し、情報が発達します。都市の人間は農村の人間よりも弱いので、頼るものを求め、そこから一神教(イスラム教等)が生まれ、一元論的な考え方に陥り、「壁」ができてしまうのです。だから、「壁」の向こう側を見ようとするのならば、「人間であればこうだろう。」という普遍的な考え方をもつことだという視点を著者は提示しています。現在、発生している身近な問題や世界的な紛争を考えてみても著者の意見は鋭いと感じます。
さて、現在、イスラエルとパレスチナの国境に「バカの壁」ならぬ「本当の壁」の工事が着々と進んでいるのをご存知でしたか。この「本当の壁」を取り除くには、やはりイスラエルとパレスチナの指導者の「バカの壁」を取り除くことが一番の解決策なのでしょう。
あなたが世界を変える日                                      
                     セヴン・カリス=スズキ著、ナマケモノ倶楽部編・訳
                                             学陽書房
                                          1.000円+税
世界中を感動させた12歳の少女のリオの伝説のスピーチ                
1992年、リオ・デ・ジャネイロで開かれた第一回地球環境サミットでセヴン・カリス=スズキという12歳の少女が6分間のスピーチをしました。実は、このスピーチに彼女は招かれていたわけではなく、仲間と資金を集めて勝手に押しかけたのですが、ユニセフの代表であるグラント氏のはからいによって運よくスピーチできたのでした。しかし、このスピーチが終わった時、世界各国のリーダー達は立ち上がって、このスピーチを涙を流しながら祝福しました。ロシアのゴルバチョフ大統領が、そして後にアメリカの副大統領になるゴアが駆け寄って「サミットで一番素晴らしいスピーチだった。」とほめたたえたそうです。そして、その言葉は、世界中を駆け巡り、いつしか、「リオの伝説のスピーチ」と呼ばれるようになりました。あれから10年以上が経ちましたが、今年、彼女のスピーチの全文が素敵なイラストとともに本になって出版されました。
どうして、彼女のスピーチがとても感動的だったのでしょうか。それは、「わたしの話には、ウラもオモテもありません。」と始まったように、当たり前のことを素直な心で語ったからでしょう。わたし達大人は、ホンネとタテマエを使い分け、「豊かさ」と「便利さ」を追い求めた結果、ずいぶん、身勝手な生き方をし、地球環境を破壊し、大切なものを見失ってしまっているのです。彼女のスピーチは、それを気づかせてくれます。
今年、日本は冷夏でしたが、ヨーロッパは大変な猛暑でした。特に、フランスでは、猛暑のために直接、間接的に約一万人以上の人が亡くなったと言われています。やはり、地球温暖化により気候がおかしくなっていることは誰も否定できないでしょう。わたし達は今こそ、セヴンのスピーチから学び、セヴンのように本気で地球の未来を考え、できることからでも行動をしなければならないと思います。買い物の際にバッグを持参する等、どんなささやかなことでも自分が実行すれば、まず、自分の周り人が変わり、自分の町が変わり、日本が変わり、きっと世界も変えられると信じて・・・。
この本の編集と訳をした市民グループ「ナマケモノ倶楽部」のホームページです。
是非、ご覧ください。                  

      
   
            
                  
             ここにとりあげたものは、日本語の宝石です。暗誦、朗誦することによって
            こうした日本語の宝石を身体の奥深くに埋め込み、
            生涯にわたって折に触れてその輝きを味わいたいものです。

                                           

              
大江千里

月みれば千々に物こそ悲しけれ

      わが身ひとつの秋にはあらねど

(読み)
つきみればちぢにものこそかなしけれ
わがみひとつのあきにはあらねど 
                        百人一首より                                                          
解説
(意味)
秋の美しい月を見ていると、いろいろなことがとめどなく悲しく感じられる。
わたし一人に秋が来たわけではないのだけれど。
(作者)
大江千里(生没年未詳)
寛平、延喜の頃の人。在原行平、業平の甥にあたる。894年に宇多天皇に「句題和歌」を詠進した。

              声に出して読み上げてみると、そのリズムやテンポのよさが
            体に染み込んできませんでしたか?また、情景をイメージすることによって、
                    右脳も活性化されたことでしょう。              
 

                                        

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