本からわたしは何を贈られてきたのか。敢えて乱暴にひとことでくくってしまえば、
今日を明日に紡いでいく弾みのようなもの、と言えるかもしれない。そしてそれは、
子どもにとっても大人にとっても大事な「今を生きる」力でもあると信じている。
                            落合恵子「みんな本を読んで大きくなった」より

 Y
                     
                                             佐藤正午著
                                          角川春樹事務所
                                             648円+税

                                                                                                                                                                                                時間を越えた究極のラブ・ストリー     
今は解散してしまいましたが、かって女性ばかりのバンドのヒット曲に「M」という曲がありました。「M」は失恋した相手のイニシャルだったのですが、この本の題名の「Y」は、そうではありませんでした。「Y」とは、人生の分岐点のことを指しているのです。「もしあの時、ああしていればその後の人生はどうなったのだろう?」長い人生の中で、誰にもそう思うような出来事が必ずあると思います。できることなら、あの頃に戻って人生をやり直したい・・・。
この本は、1980年9月6日土曜日に東京の京王、井の頭線で起きた事故から始まります。ある青年がかねてから思いを寄せていた娘と知り合うきっかけを作ろうとしていましたが、一緒に乗った電車が下北沢に着いた時、偶然の出来事が重なって彼の方だけが下車し、娘を乗せた電車はそのまま発車し、数分後、凄惨な事故に見舞われてしまいます。青年は下北沢での運命の瞬間を呪い、その思いが奇蹟を呼び起こし、推理小説風のなぞとサスペンセンスで物語は展開し、こんなことは起こりうるはずがないと思いつつも一気に読みたくなる不思議な本でした。
それに、1980年という時代背景が今、4,50代の人には自分の若い頃と重なって、とても懐かしく身近に感じられ、登場人物になにかしら、親しみをおぼえることと思います。あまり多くを語ることは、これから読む人のために差し控えたいと思いますが、私がこの本を読んで考えたことは、たとえ何回、過去に戻って人生をやり直すことができたとしても結局、出会う人、惹かれる人は変わらないのではないかということです。自分の運命を変えられるのは、自分の行動や気持ちの持ち方なのだということです。
秋の夜長に、推理小説が好きな人にも恋愛小説が好きな人にもおすすめしたい一冊です。
笑顔がクスリ                                                                                                                                                  
                                            昇 幹夫著
                                            保健同人社
                                          1.350円+税
笑いが心と体を強くする                                         
先日、名古屋で昇先生の講演会があり、友達に誘われて聞きに行ったのですが、ビデオ鑑賞を織り交ぜながら、内容がとても充実していて、なおかつユーモアにもあふれ、感動して先生の本を買って帰ってきました。
昇先生は40代の頃までは、年間1,300人も生まれる病院に産婦人科医として勤められ、月の半分は病院に泊まり込んで生活をされていたようです。50歳を前にして高校の同窓会に出席された折に、200人余りの卒業生のうち8人も亡くなっている事実をお知りになり、この激務の中にあって次に死ぬのはご自分だと思われたそうです。そして、50歳になられた時にフルタイムの現場をリタイアされ、一週間の半分を産婦人科医として働かれ、残りの半分は「笑いの医学的効用」を医師として、日本笑い学会副会長として、全国各地を講演して回ってみえるそうです。この本は、その講演の内容をもう少し詳細に多岐にわたって述べているもので、「暮らしと健康」という雑誌に連載されたのもをまとめたもののようです。
笑いがいかに人生をバラ色に変え、病気もボケも遠ざけるか、生きがいをもつことがどんなに大切なことか、気持ちのもちかた次第でどんな困難な状況にあっても明るく過ごせるのかがユーモアをたっぷり含んだ楽しい文章で書いてあります。また、この本には武豊で添加物を含まないパン作りをされてみえる「パン街道 ピノ」の久米洋典さんのことも載っていました。胃がんになって全摘出手術を受けられた久米さんが、添加物を使わない本物のパン作りに励まれ、がんを克服され、「がんのお陰で命の不思議さとありがたさに気づかせてもらった。」と、語ってみえます。
今は、不景気のためか、先日の名古屋の大曽根のビル爆破事件のような暗いニュースばかりが目立ちます。大地震の心配もあります。また、これから高齢化社会を迎え、年金問題など不安も尽きません。でも、クヨクヨ悩んで過ごすより、明るく笑って楽しく過ごしませんか?人は人生を終える時に、楽しかった思い出だけが頭に浮かぶようです。楽しかった思い出はなにものにも変えがたい財産だとは思いませんか?
昇幹夫先生のホームページがあります。ぜひ、ご覧になってください。

      
   
            
                  
             ここにとりあげたものは、日本語の宝石です。暗誦、朗誦することによって
            こうした日本語の宝石を身体の奥深くに埋め込み、
            生涯にわたって折に触れてその輝きを味わいたいものです。

                                           

              
大納言経信(だいなごんつねのぶ)

夕されば門田の稲葉おとずれて

         あしのまろやに秋風ぞ吹く

(読み)
ゆうさればかどたのいなばおとづれて
あしのまろやにあきかぜぞふく 
                  百人一首より                                                          
解説
(意味)
夕暮れになると、家の前の田の稲の葉をさらさらと音をさせて、
葦ぶきのこの粗末な家に秋風が吹き過ぎてゆく。
(作者)
大納言経信(1016〜1097年)
正二位大納言。74番の作者俊頼の父。太宰権帥となり任地で没した。
琵琶をよくし、別荘が桂にあったので桂大納言と呼ばれ、琵琶の桂流の祖とも言われる。
中古三十六歌仙の一人。

              声に出して読み上げてみると、そのリズムやテンポのよさが
            体に染み込んできませんでしたか?また、情景をイメージすることによって、
                    右脳も活性化されたことでしょう。              
 

                                       

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